KUSABIBITO TOKUSHIMA

TOSHIKI YAMAGUCHI

宮大工とは

伝統的な 継手(つぎて)や仕口(しぐち)を使って神社やお寺をつくっていく仕事です。家大工を2年ぐらいやってたんですけど、このままではちょっとまずいなと、本当の意味での手に職をつけて将来木材を扱ってご飯を食べていきたいなと思ったのが、宮大工になろうと思ったきっかけです。

宮大工と家大工の違い

部材が大きいのと、原寸図がちょっと複雑です。柱1本にしても 住宅だったら12センチ角とかなんですけど、もっともっと大きい、6寸、7寸、8寸、1尺とか(一寸=3.03cm、一尺=30.3cm)。丸かったりもするし、やっぱりそれに従って使う道具も増える。それを扱う他の知識経験というのが大きな違いです。いろんな角度があって、削るものの大きさによって角度を変える。合わなければ道具のかんなを作るところからはじまります。

木材の選定

木材を扱う上では木の曲がり方、反り方とか言うんですけど、同じ方向にばっかり反っているわけでもないし、いろんな表情があるんでその辺をなるべく見抜くようにしています。
できる限りその形に沿った部材を使うのがベストです。しかし、全てぴったりの木は少ない。お寺とかなら反ってる垂木(たるき)とかも使うので、場所によって選定し、繊維を切らないようにしている。繊維を切らないっていうのが昔からの考えだと僕は思ってます。

宮大工の伝統的な技法

形は時代で少しずつ変わっているんですけど、やっぱり根本的なデザインとか形は ずっと変わらないままですね。多分それ以上のものが生まれてないだけで、変わる必要が今のところないんだと思います。一番合理的で長く使えるということですかね。

あらかじめ機械で加工しておくのが住宅では多いんですけど、社寺建築では「継手」「仕口」や「組もの」もそうですし、やっぱり木材を上手につなぐ技っていうのがたくさんあります。それを多用しているのが社寺建築ではないかと思います。

宮大工の未来

現在、若い人たちがいないことはないんです。都会の方とか有名な工務店にはたくさんいるんですけど、やっぱり地方にも実力を持った工務店があるっていうのを知っていただいて若い人たちも、自分の育った地方で勉強して一人前になって食べていけるっていうのは分かって欲しいですね。 やっぱり育ったところで大工さんをしていってほしいです、宮大工として。

若者達へメッセージ

世間的なイメージでは「きつい・給料面で安い」とよく聞きます。しかし、飛び込んでみてから考えれば全然大丈夫だと思いました。まあ苦労は確かにありますけど、やりたいと思っているのが宮大工だったら、飛び込んでみたらいいんじゃないかなと思います。

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