KUSABIBITO TOKUSHIMA

KOSUKE TOMINAGA

建具職人とはどのような仕事をしますか?

木工っていう大きなカテゴリーの中にその建具職人であったり家具職人、指物の職人、 その木で何かを作るクリエイターの人の呼称で、 我々はその中で建具・家具・指物の方を手がけております。 建具職人とは、皆様の周りにあるようなドアだったりとか、 障子であったりお寺の大きな門とかを制作する職人のことを言います。

徳島はもともと木工の産業というものがすごい充実してまして、 仏壇や鏡台、そういう風な木工の産業がすごく発達してたんです。 その中でも弊社は、飾り組子とか、組子細工という、 障子の中に細かい「葉っぱ」って言うんですけど、 それを入れてストーリーを表現するような、 そういうものを三代目の前会長がやってました。 それから4代目の社長になった時に「飾り組子からちょっと進化させたような 阿波指物ってジャンルを作っていきたい。」となりました。 そういう時に東京大学の教授の方にご縁ありまして、その方が主催する 東京大学木質研究会に所属することになり、そこで阿波指物というジャンルを東京大学の教授と一緒に4代目が作り始めたんです。

意外と海外からの評価をいただきました。 COOL JAPAN AWARD(クール ジャパン アワード)っていうのがあるんです。 そのCOOL JAPAN AWARD2019のアウトバウンド部門で受賞いただきました。 それは阿波指物で作られたミラーなんですけど、 阿波指物ミストミラーという商品を弊社で開発して それを発表したところ、100人の海外の審査員の評価いただきまして 受賞という形になりました。

これからの木工業界はどうなってほしい?

木工の業界というのもそうですし、 この職人という職業にはいろんな 職人さんがいらっしゃると思うんです。 左官屋さんであったり電気屋さんだったり、鳶職の方だったり。 様々なすごい職人の方がいらっしゃって、その職人の方々というのはすごい良い技術を持っていて、 それでキラキラしたような職業なのかなと私は考えてるんです。 その方々の職業的な地位を向上させていきたい。 地位を向上させるためには、自分たちが変わっていかなければ地位が向上していかないとは思うんです。

私自身も高校の授業とかに講師として参加していて、 人材育成っていう部分に広く携わらせていただいてもらっています。 教えるというより教わっているという感覚で、ものすごい相乗効果で良い。 その中で大切だと思ったのが品位品格。品位品格を突き詰めて自分を鍛えていく。自分の力っていうものは技術だけではなく、そういった精神面も当然鍛えていく。そうすることによって職人の業界全体の底上げになると思うんです。一人一人がその品位品格を自覚しながら仕事をしていくっていうことを植え付けていければ、この業界全体にすごくプラスになるような現象が次々に起こってくると思っています。

台湾で個展をさせて頂いた時に、木育ということに関しても活動してきたんです。 その台湾での木育に関して海外の方が、日本の木に関するようなワークショップや、コミュニケーションにすごい興味を持たれていた。 日本っていうのはSDGSを含めて木に関するいろんなことを取り組んでるんです。 そういうものを海外に発信していって、 海外で一つ認知をとり、それを逆輸入して日本でまた広めていく。 木育も教育です。職人の中の木育を提供できれば職人一人一人の意識が変わっていって、クオリティのもう一段階上がったようなメイドインジャパンを 作りたいのが願望ですかね。

若者達へメッセージ

まずは基本的な基礎っていうものを大切に。 やはり職人なので作ったものが全てなんです。 出来上がったものが全てなんです。 なのでお客様の手に渡った時に、お客様が感動して感謝して頂けるような製品づくりっていうものを心がけていくというのを目標にしてほしいです。 初めは難しくてできないかもしれないんですけれども、その心の奥底にその気持ちをすり込むんです。 ただ物を作る。毛嫌いしながら作る。自分の求めてないことに対して反発しながら作る。 素直にならずにそのまま言われたことだけやる。 そういうのではなく、ちょっと自分の思考を変えることによって、 ちょっとしたことですよ。 思考を変えるだけで自分の作るものの出来栄えというのは 変わってきますので、自分のメンタルをコントロールできるような職人さんになってほしいです。

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